自然の中をトコトコ走り続ける「箱根登山電車」の環境にやさしい取組

箱根登山電車は、箱根湯本~強羅間8.9kmを約40分かけて走る日本有数の本格的な山岳鉄道です。粘着式鉄道(※1)では日本で第一位の急勾配80‰(パーミル)の坂を力強くのぼる姿はまさに「圧巻」の一言。そんな急勾配をのぼるために出山信号場 、大平台駅、上大平台信号場 の3か所でスイッチバック(※2)するのも特徴で、1919年の開業以来、多くの観光客や鉄道ファンに愛され続けています。


箱根登山電車の最新車両「アレグラ号」は、2014年にデビューした人気の車両です。
デザインは小田急ロマンスカーVSE、MSE、GSEなども手がけた『岡部憲明アーキテクチャーネットワーク』の手によるもので、箱根の山の中を走る特徴を活かし、雄大な自然を間近に体感できるよう、従来の登山電車の車両よりも大きな窓ガラスを採用。出山の鉄橋からのぞく渓谷や、山間に見え隠れする相模湾、かなたに見える箱根外輪山など…季節により表情を変える箱根の風景を存分に楽しめるよう設計されました。

また、この「アレグラ号」は箱根登山電車初の回生ブレーキを搭載した電車でもあります。
ブレーキ時にモーターを発電機として使用し、この際の運動エネルギーを電気エネルギーに変換します。ここで発生した電力は、電車の架線に戻され、ほかの走行中の電車に使用することで、消費電力の削減に大きく貢献することができます。
この回生ブレーキの仕組みを導入した後の消費電力の削減量は、箱根登山鉄道の年間運転電力量の約10% 相当になります(箱根登山鉄道調査より)。

大正時代から走り続けている箱根登山電車は、これから先も箱根の自然と共存共栄していくため、環境にやさしい取組を実践してまいります。


箱根をご旅行の際は、箱根登山電車に乗って箱根の自然を存分に満喫してはいかがでしょうか?


(※1)粘着式鉄道
レールと車輪の摩擦力で走行する、一般的な鉄道のことです。


(※2)スイッチバック
急斜面にジグザグに線路を敷き、進行方向を変えながら進むことで、勾配を緩やかにし、山を登っていく方式です。